「お疲れ様〜」
 放課後、結局4人でファーストフード店にやってきた。ハンバーガーのセットを購入し、ドリンクで乾杯をする。
「よかったね、二桁いけて」
「うんっ、これでデート出来る」
 二人ともギリギリ入れて、高橋くんは二位。
「だけど、千紘が一位だとか凄すぎ」
「ほんと、すごいね……おめでと」
 私自身が一番びっくりだよ。どうしてこんなに良い点が取れたのか私が一番わからない。
「じゃあ、俺とデートしよう」
「うんっ」
 付き合って初めての、デートかも……しれない?


 日曜日、朝。
「決まらないっ……!!あああ、時間〜〜」
 あれから数日経ち、今日は亜樹くんとデートの日。なのに、なかなか服が決まらない。こんなことなら、昨日のうちに準備するんだった!
「千紘〜もう亜樹くん来てるわよ!」
「うん、わかってるんだけどっ! 今行くって伝えて……」
 傷の目立たない白いレースの長袖ワンピースにデニムジャケットを着てピンク色のミニバックを持ち、髪は巻いて下に降りた。
 玄関に行くと、お母さんと亜樹くんがとても楽しそうに話をしていた。
「もう、千紘……もう遅いじゃない!」
「大丈夫ですよ、女の子は時間が掛かると思いますし」
 優しいなぁ……そんなこと、朝陽なら言わない。絶対悪態つくもん。
「じゃあ行ってきます」
「うん、行ってらっしゃい」
「では……十九時までには送ります」
 本当、完璧すぎる人だ……そんな人が彼氏だなんて。そりゃ、妬まれるはずだよね。全ての行動も言動もかっこよすぎ。
 家を出てバスに乗ること十五分、バスを降りてから五分歩くと見えてきたのは最近出来た大きな映画館。
 休日だからか家族づれやカップルで溢れている……チョイス間違えたかな? 
「混んでるね……チケット買いに行かなきゃ」
「千紘ちゃん、ネットで予約したんだ〜だからあの機械で大丈夫」
 おぉ……ネット、予約。イマドキだ。ネット予約なんて朝陽ならしない。――って、また朝陽の事考えっちゃってる……ダメダメ。
「千紘ちゃん?」
「えっ、あ……ごめんね、なんだった?」
「飲み物何にする?」
 それに今は亜樹くんと来てるんだから、ちゃんと亜樹くんと楽しまなきゃ。
「じゃあ、ミルクティーで……」
 飲み物とポップコーンを頼み、受け取るとチケットに記載されているスクリーン四番に向かい指定の座席に座った。