朝になりスッキリと目覚めた。
「……本当に大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ。目指せ皆勤賞だから!」
 あれからぐっすり寝ることができ、朝シャワーを浴びて制服を着た。お母さんは学校休んだ方が……と言っていたが、私は行くと言い張り私の粘り勝ちだ。
「お父さんが送ろうか? 俺、今日半休だから」
 え……そんなこと昨日言ってたっけ。もしかして私のためなんだろうか。
「大丈夫だよー……亜樹くんもいるし〜」
「え? 来てくれるの?」
「うん、学校行くって言ったら迎えに来るって言ってた。だから、大丈夫」
 ご飯を食べ終わり、リュックを背負うと玄関のチャイムが鳴ったから2人に「行ってきまーす」と言って外へ出る。
 なんか緊張してきた。謎の緊張感が私を襲う。深呼吸をして玄関の戸を開けると、すぐそこで待っている亜樹くん。かっこいいなぁ、イケメンだなって気楽に思った。
「おっ、おはよう!」
「おはよう……千紘ちゃんっ」
 亜樹くんは笑顔なのに、切ない感じの顔をしていた。この人にこんな顔させたのは私だ……お母さんに亜樹くんも探してくれたんだって聞いた。
 やっぱり、あの話……ちゃんとするべきだよね。
「亜樹くん」
「ん?」
「……いや、なんでもない」
 だけど、話すことは本当に本当に難しいことで……まだ、全てを晒すのは勇気がでない。
 すると、亜樹くんはそっと手を繋いできた。
「……千紘ちゃん、無理して話さなくていいよ」
「え?」
「千紘ちゃんが心の準備ができた時に、教えて?」
 彼を見上げると、いつものように笑ってくれる。
「大丈夫だよ、俺、ずっと待ってるから」
 亜樹くんは、私にいつも優しい。手を引いて歩いてくれる……そんな人だ。学校に着くと私が閉じ込められたことは広まっていて……朝なのに、居心地が悪い。
「千紘、気にしないでいいから。何も悪いことしてないんだから」
「う、うん……そうだね」
 亜樹くんは握っている手の力を強めた。だけど、気にしないでって言われてもコソコソ話されているのは傷つく。
「桜林」
「あ、川崎先生……昨日はお世話になりました」
「いや、それはいいんだ。ちょっと来てくれるか?」
 昨日のことを聞かれるのかドキドキしながら先生についていくことにした。
「分かりました、じゃあ……亜樹くん私行くから」
「うん、いってらっしゃい」
 亜樹くんに見送られながら川崎先生について行くと生徒指導室だった。入るといたのは、教頭先生に生徒指導部の先生に学年主任……それと昨日閉じ込めた彼女たちがいた。