「千紘ちゃん、おはよ! あのあと応時くんとはどうなった!?」
「絵里ちゃんおはよ……昨日は送ってもらっただけだけど」
 昨日、応時くんと連絡先を聞いてから家まで送ってもらった後、連絡が来た。
[今日はありがとう! よろしくね]
[こちらこそ送ってくれてありがとう。よろしくです]
 だけど、初めてだから会話が続くわけではなく、一言二言話して終了したんだよね。
「え〜いいなぁ、あの応時くんだもんいいなぁ」
「絵里、千紘ちゃんは可愛いからね? イケメン男子には美少女が似合うんだよ?」
「応時くんはイケメン男子だけど、私は美少女じゃないよ。」
 否定したけど、絵里ちゃんともう一人はずっとキャッキャと会話が進んでいる。だけど本当にあんなかっこいい人……私じゃなくてもいいだろうに。
 なんでだろう、不思議だな……。
「千紘おはー! 千紘お客様だよ」
「え、女子ばっかだけど……」
「あの女子の中心人物だよ、応時くん」
 え!? あれ、応時くんなの? 
 朝からきてくれたんだ……連絡くれれば良かったのに。
「あっ……千紘ちゃーん!」
「お、応時くん……どうしたの」
「お昼一緒に食べよ、ねっ!」
 だけど、菜央と食べるし……と思って彼女の顔を伺った。
「私はいいよ、気にしないで」
 菜央はニヤニヤしてそう言った。
「え、でも……」
「私も綾と食べるから」
 菜央は彼氏かー……。
 この流れだと応時くんと食べるしかない選択肢はない。
「分かった。いいよ、応時くん。お昼一緒に食べよう」
「えっ! 本当に? やった!! じゃあ、終わったらすぐ迎えいくから」
「うん」
 応時くんはガッツポーズしていてすごく喜んでる。可愛いな……本当、犬みたい。

 
「千紘ちゃん! 迎え来たよ!!」
 チャイムが鳴るとすぐに応時くんと高橋くんがやってきた。二人は知り合いか何かなの……?
「あれ、綾は応時くんと知り合い?」
「うん、同じクラスだよ」
「えぇ!? そうなの?」
 同じクラスかぁ……なんか世間は狭いなぁ。
「じゃあさ、この際一緒に食べようよ」
「え、私はいいけど……応時くんと高橋くんは大丈夫?」
「俺は大丈夫だよ、千紘ちゃんといられるなら!」
 ……え?
「応時くん、千紘にベタ惚れじゃん!」
「だって、今アタック真っ最中だから!!」
 あ、アタック中……彼の好意は少し気づいている。この前も好きだって言われたし。だけど、言葉にされるのを回避したくて違う話題にいつもしている。
「……俺もいいよ、べつに」
 高橋くんも了承しちゃって、結局みんなでご飯を食べることになった。