「……君、千紘と付き合ってるのか?」
 千紘と別れて俺は脱け殻状態だった。連絡も取れないしあちらも避けているのか会えていない……。
 だけど久しぶりに会えたのは彼女と男子高校生……同じ学校だろうか。
羨ましい……羨ましすぎて嫉妬でおかしくなりそうだ。
 ……で、突拍子に出てきた言葉がこれ。
「もし、そうだったら、どうします?」
「……っ……!」
「俺は……千紘ちゃんが好きです。ずっと、あなたと付き合っていた時から好きだったんです。あなたはもう彼氏じゃないんですよね?」
 彼は挑発する様にそう言った。高校生相手なのに、俺はそれに何も言えなくなる。
「俺は……あなたには負けません。失礼します」
 彼が去ってから千紘の部屋の灯りが付いているのを見て、千紘と話をするつもりだったが……今日はやめとこうと思って家に入った。
 部屋に入れば、千紘の部屋が隣にある。当たり前だけどこんなに近い距離なのになんで遠いんだろう。
 こんなに大好きなのに、伝わらないんだろう。いや、伝えているつもりで伝えてなかったんだ。
『─︎─︎─︎私知ってるんだよ。朝陽が、私と責任と義務感で付き合ってるって……』
 違う、そうはっきりと言いたかった。
 昔はそうだったかもしれない。だけど、俺は千紘と責任や義務感で付き合ってるわけない。好きだから交際を申し込んだ。だけど、俺の想いは一ミリも千紘には伝わってなかった。