◇◇◇
 (朝陽side)


「……で、どうするんだよ。」
「そんなの、するに決まってる。だけど……」
 もう十六時。下校時間だけど、千紘は友達と出かけるからって言ってたからまだ大丈夫なはず。
「というかさ、どうにかならないわけ? その、趣味は……」
「あー……いいでしょ? ストレス発散なの!」
「だけど、もし千紘に見られて誤解されたらどうするんだよ! そんな女装!!」
 目の前にいる友達は変人で、女装が趣味。何度言っても辞めない、コイツ。
「だけどさ、モテモテ朝陽くんが年下彼女の前だと伝えられないなんてなー。断られると怖いって……くくっ」
「……もし断られたら生きていけないし、千紘がいないと生きてる意味なくない?」
「いや、それはない。朝陽、重すぎ。だけどさ、気持ちは伝えなきゃ伝わらないよー?」
 そ、それはそうだけど……っ
「朝陽は、どうするの? 本当に、結婚する気あるわけ? 彼女と」
「それはもちろんだよ、もう結婚して閉じ込めておきたいくらいなんだから。」
 千紘と結婚したい。それは前からずっと思っていた。
「……だからそれが重いんだよ監禁だ、それ」
「監禁?」
「自覚なし? まぁ、千紘ちゃんからしたら、爽やか幼なじみ朝陽くんだもんな。前から溺愛してたけど付き合ってからもう溺愛以上だし?」
「……監禁なんてしない。」
 しないし、してない。そんな犯罪行為なんて。
「千紘ちゃんに喜んで欲しくて高校卒業してすぐ免許とって車をかったとか……凄いなって思ったよ。まぁ……さ、婚約指輪、買いにいくぞ」
「……あぁ」
「プロポーズ、するんだろ?」
 こいつに言われるのはむかつくけど、結構いい相談相手なんだよな。
 だけど……全く知らなかった。彼女が、俺を見ていただなんて……何も知らずに、俺は彼女にあげる指輪を買いに行っただなんて。