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「……んっ、もう朝かぁ……」


 隣を見ると無防備な彼女がスヤスヤと眠っている。彼女を見ればすぐに目につく火傷の跡。

 これは俺のせいで……彼女に怖い思いをさせた挙句に、傷すら残してしまった。
 今もなお、この傷のせいで嫌な思いだって沢山させている。 


「ごめんな」


 そう言って髪に触れ、彼女の唇に唇を重ねた。俺には、千紘しかいない。

 俺のせいで傷痕が残ってしまったけど、今なら……良かったと思う。


「……千紘、好きだよ」


 傷痕がある限り彼女は……俺から離れることはできない。

 いや、離してはあげられないの方が正解かもしれないな。