「少し、遅いなって思って来た。気づかなくてごめん」

「大丈夫だよ、ごめんね朝陽。ちょっと苦手な、だけなの」


 私はハンバーグが売っている精肉コーナーが、嫌いだ。

 このスーパーは少しあの時と構造が似ている。だから店に入って気分が悪くなってしまっただけだ。

 朝陽には知られていないって思っていたのにここにきてバレちゃったかー


「千紘。今日は、外食にしようか」

「え、でも……ハンバーグ食べたいって、私のことは気にしないで? 大丈夫だし」

「大丈夫、ハンバーグなんてお店で食べられるよ」


 朝陽はそう言って微笑み、髪にキスを落とす。


「俺は……ちぃのそんな顔じゃなくて、笑った顔がみたいからさ。よし、行こうか」


 朝陽は私と手を繋ぎ指を絡ませ歩き出す。彼は本当に優しい。

 だけど……もし、朝陽が私を好きじゃなくて付き合っているなら。私は、優しい朝陽から離れた方がいいのかな。

 あれから、私たちはスーパーから少しだけ遠いカフェにやってきた。