今でも鮮明に思い出せる。

 あの日暑い夏の日に起きた、あのスーパーで起きた大きな爆発事故。


『……大丈夫か!?』
『……ぅ、ん……』
『もう少しだから、頑張れっ』


 あの事故に巻き込まれた私は、オレンジ色の服を着た消防士さんに助けられ……命には別状がなかった。

 だけど怪我を負った。

 私の眠る病室で、途切れ途切れだけど聞こえたお母さんが叫ぶ声に何度も何度も謝る朝陽の声が響いていた。

 まだまだ小学生だった私にはお母さんが怒る理由とか朝陽の謝る理由が分からなくて……。



『─︎─︎責任は必ず取ります。千紘(ちひろ)の笑顔は俺が守ります。』



 ただそれだけ、それだけは……はっきりと覚えてる。

 あれから数年。私は高校生に、朝陽は消防士になった。付き合うようになった私たちだけど、私は知ってるよ。


 彼は…… ─︎─︎朝陽は、私のことが好きじゃないって。


 ずっと縛ってごめんね。

 だからね、朝陽。私は貴方を解放するね。ずっとずっと、朝陽のことが大好きです。

 明日はキミのために泣きたくないよ。
 私は君が大好きだから、
 君の幸せを願ってます。