大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~

 先に結婚した学友が言っていた。

「女は厳しくしても、なんにも言うこと聞かないぞ。
 欲しがってるものを贈ってやったり。
 やさしくしてやったり。

 多少、甘めに接した方が、愛が深まって、こちらの望みも叶えてくれるし、言うことも聞いてくれるぞ」

 そのときは、結婚とは面倒臭いものだな。

 俺はできるだけ遅くしよう、と思っただけだったが。

 今、その言葉が重くのしかかっている。

 なんとか参考にしようとして――。

 だから、朝も、いつもなら振り向かずに行くところを振り向いて、

「……お前の淹れる珈琲、期待している」
 などと言ってみたのだが。

 出てきたのは、謎コーヒー。

 ほんとうに一晩木にコーヒーを吊るして、濾過しかねない妻が淹れた謎コーヒー。

 まずくはない、というのが精一杯だった。