大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~

「いや~、それがサイフォンじゃなくて、ネルドリップで淹れるの習ったんですけど。

 半分淹れたところで、なんか色が薄いな~と気がつきまして」

 お湯のつもりが水だったんですよね~と咲子は遠い目をして語った。

「でも、そういえば、オランダの人が植民地でやってたっていう水出しコーヒーってあるな~と思い出しまして。

 袋に入れたコーヒーを木の枝に吊るして、水をかけて濾過するっていう」

 今のインドネシアでオランダ人がやりはじめたという、いわゆるダッチコーヒーだ。

「水出しコーヒーって、ゆっくり抽出するから、まろやかで美味しいというではないですか。

 じゃあ、まあいいか、と思って」

「……お前はこのコーヒーを木の枝に吊るして、一晩かけて抽出したのか」