大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~

 



「私、少し家事をしてみようと思います」

 朝食の席で、三冊の主婦向け雑誌を手に、咲子は言った。

 行正は心の中で、
『お前、その雑誌に感化されたな』
と言っていた。

「やればいいじゃないか。
 暇なんだろう」

「はい。
 床の間の柱をピカピカにしたり」

『やめてください。
 私が磨いてないみたいじゃないですか』
という顔を近くにいた年配の女中がし、

「焦げついた鍋を磨いたり」

『やめてください。
 私の仕事がなくなりますっ』
という顔を若い女中がする。