大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~

 そのとき、お茶を飲みながら、珍しく沈黙を守っていた文子がカップを置いて言った。

「私、輿入れが決まったのですけれど」

「え? あ、おめでとうっ」

「そうなの?
 あら、おめでとう」
と美世子と言ったが、文子に、

「……なにかお二人のせいで、結婚生活に不安しかなくなりました」
と言われてしまう。

 いやいや、ごめんって、と美世子と二人、謝り、なんとか結婚生活の良い面をほじくり出して語ってみた。