大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~

 


「なんですの、昨日の行正さまとの熱いデエトはっ」

 次の日、女学校に行くと、いきなり、美世子がつかみかからんばかりに言ってきた。

「えっ? デエト?」

「二人仲良く、祠の近くの道を歩いてたじゃないっ」

「……見てたんですか」

「たまたまよっ。
 祠、拝みに行ったら、偶然出くわしただけよっ」

 ちゃんと拝みに行ってるんですか。

 意外と可愛い人だな、と咲子は思う。

「二人で時折、見つめ合ったりして、ふふふ、みたいな感じで歩いてたでしょっ」

「……美世子さん、あなたの目、腐っていますよ?」

 あの緊迫の散歩がどう見たら、そうなるのですか、と思いながら、咲子は言った。