大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~

「『この人、何処まで本気なんだろう』」

 ……大体当たってますね、と思ったとき、行正が真後ろに立った。

 どきりとしたが、行正はそのまま動かない。

 動いてくださいっ。

 黙って、後頭部に息が届くほど真後ろに立たないてくださいっ。

 怖いんですけどっ、と思ったとき、そっと行正が抱きしめてきた。

 咲子の頭に頬を寄せて言う。

「抱きしめていいのかな、と迷うんだ。
 今でも。

 こんな幸せ、ほんとうにあるのかと不安になる――」

 そっ、そんなこと言っていただけるとかっ。

 振り返ったら、きっとまた無表情なんでしょうけどっ。

 言葉でそう言っていただけるだけでっ。

 なんか、もうっ。

 私はなにも言葉にならない感じなんですけどっ。

 そんな感じに頭の中はグルグル回りながら、ガチガチに固まっていたが。

 行正がそのまま離さないので、咲子は困ってサンルームの外を見た。

「あ、トンビ!
 明日は晴れですねっ」
と慌てて話題をそらすように言う。