大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~

 でも、まあ、やっぱり、きっと気のせいです、と咲子は思う。

 最近、行正さんの心の声がどんどん情熱的になってきているので、きっと違うと思います、と。

「なに考えてるんだ?」
と行正が訊いてきた。

「えっ?
 いえ、別に……」

 そう笑って誤魔化そうとしたとき、行正が言った。

「まさか、また自分には人の心が読めるとか思ってるんじゃないだろうな」

「そ、そんなこと……」

 ありません、と言おうとしたが、その前に行正が言う。

「お前がサトリなわけはない。
 俺がどれだけお前を愛しているか、まったくわかっていないのに」

 ……だから、冷ややかに見ながら言うのやめてください。

 本気なんですか?

 からかってるんですか?

 いや、この人、人をからかったりとかするんだろうか?

 よくわからなくて怖い……と咲子は視線をそらすようにサンルームの外を見た。

 ソファから立ち上がりながら、行正が言う。

「俺にはわかるぞ。
 お前が今、なに考えているのか」

「え――?」