大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~

 


 ルイスたちが帰ったあと、咲子は笑って行正に言った。

「行正さんが心の中で何度もルイス先生に斬りかかってたのって。
 単に行正さんが、ルイス先生を素敵な人だって思ってたからですよね。

 自分の妻まで惚れそうな素敵な人だって」

「そういうわけじゃないが」
と照れたように行正は言う。

 いや、照れているのでは、とサトリな私が無表情な行正さんを見ながら思っているだけで。

 ほんとうに照れているかは謎なんだが……。

 ごく(まれ)に、行正さんの心の声のようなものが聞こえることがあるので。

 やはり、人の心を読む力は、それなりにあって。

 でも、ほんとうに聞けているときと、ただの妄想なときがあり。

 自分でも判別がつかないだけなのでは?

 咲子は、そう思うようになっていた。