大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~

「文子サンは多くを語らない人なので、時折、不安にもなりますが」

 なるんだ、ルイス先生でも……。

「でも、文子サン、向こうで私の母と婚約者に言ってくれたんですよ。

『ルイスさんとの結婚を認めてもらおうと思って、こんな遠い英吉利まで来たのに今更引き下がれません」
と」

 ルイスは嬉しそうだったが、文子をよく知る咲子たちは思っていた。

 それはたぶん、言葉通りの意味なのでは――。

 これだけ疲れる長旅をしてきたのに、今更、引けない、と思っただけで、愛がどうとかいう話ではないのでは……?

 だが、まあ、ふたりはなんだかんだで仲睦まじい。

「咲子サン、今日は行正サンは?」
とルイスが訊いてきた。