大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~

「お弁当の、自分で()でたという、可愛い形に切った茹で卵を分けてもらったり」

「先生、それは私です」
と咲子が言う。

「そして、その茹で卵を茹でたのは、私じゃなくて、うちのばあやです」

 私、切っただけです、と咲子は付け足した。

「ヨコハマに行ったからと素敵なレターセットをお土産にくれたり」

「……先生、それは私です」

 今度は美世子が言った。

 ルイスは笑い、文子を見て言う。

「おやおや、私たちの思い出はなにもありませんでしたね。

 でも、これから作っていけばいいんですよ」

 ね? と文子に微笑みかけている。

 めげない人だ……。