大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~

 咲子は深い溜息をついて言った。

「なんだかもう私には人の心は読めない気がしてきました……」

「いや、諦めるなっ。
 弥生子さんのところに行ってみようっ」

 いや、あなたが私は人の心は読めないって言ったんですよ。

 なんで応援してるんですか、と思いながらも、ちょっと可笑しくなってくる。

 行正の無表情さの下の必死さがうっすら見えてきて。

 なんだろう。

 私、この人、好きだ。

 大好きだ。

 この人と結婚してよかった。

 今は、心からそう思えるけど。

 でも、この人はきっとそうではないんだろうな。