翌朝、行正は思っていた。
それにしてもなぜこいつは自分に人の心が読めるだなんて思ったんだろう?
むしろ俺の方が、単純なこいつの心なら読めそうだが……。
行正はじっと咲子を見つめてみた。
咲子は食事の途中で箸を止め、うつむいている。
きっとこうだな。
『昨夜は、行正さんのおかげで話が途中になってしまいました。
まったく、どうしょうもない旦那さまです』
まあ、そんな感じだろう、と思いながら、行正は咲子に訊いてみた。
「咲子、今、お前は何を考えてるんだ?」
咲子は顔を上げ、言った。
「パーフーって、とうふー、なんですかね?」



