大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~

 使用人を雇う話のとき、行正は思っていた。

『いるのか、女中。
 贅沢な女だな』と。

 そんな咲子が読み取った心の声を聞いていた行正は、腕組みし、渋い顔で問うてくる。

「初夜は?」
「は?」

「初夜のとき、俺はなにを考えてたんだ?」
「い、今と同じことを考えてらっしゃいました」

「今と同じことってなんだ。

 ――言え」
と蝋人形様に脅された咲子は恥ずかしがりながらも口を割る。