大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~

「そうなんですっ。
 今、この時刻に外に出ると、豆腐屋さんにとり憑かれてしまうんですよっ」

 咲子ひとりの発言ならともかく。

 いつも暴走する咲子をさりげなく抑えてくれているユキ子まで言い出したので、豆腐屋に一体、なにが……? と行正は怪しんだ。

 咲子は両の手に拳を作り、緊迫した表情で言う。

「一度買ったら、何度でもやってくるんです、その豆腐屋さん。
 この時間にこの辺りを流しています」

「……買わないって言えばいいじゃないか」

 なんてことをっ、という顔を二人がする。