大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~

  


「今、外に出たら、大変なことが起こりますっ」

 そう叫ぶ咲子の顔を見ながら、行正は、

 ……また、なにか不思議なことを言い出した、と思っていた。

「大変なことってなんだ……」

 空から隕石が降ってくるとかだろうか。

 いや、そんなことをこの愉快な妻が予見できるのはおかしい。

 どうせ、しょうもないことだろう、と思っていると、咲子は真剣な顔で言い出した。

「今出ると、豆腐屋さんにとり憑かれてしまうんですっ」

「……なんなんだ、豆腐屋にとり憑かれるって」

 やはり、しょうもない話だった、と思ったのだが、何故か庭を掃いていたユキ子までやってきて、咲子に加勢する。