「保温して調理する道具ってあるじゃないですか」 夕食をとりながら、咲子はそんな話をする。 「置いておくだけで調理できる箱みたいなのなんですが」 タオルやなにかで包んだり、保温調理用の鍋があったり。 保温調理は今でも盛んだが。 保温調理の技法は、この時代にはもうドイツから入ってきていて。 火無し煮箱、または、炊ぎ箱などというものが作られていた。 「あれで一ヶ月置いておいたらどうでしょう?」 「……腐ると思うぞ」 そんなことを言いながら、行正はチラと外を見た。