大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~

「ああほら、咲子さんが来てくれたよ。
 さあ、庭をご案内してあげなさい」

 いや、庭をご案内って、俺もここよく知らないんだが、という目を行正はしていた。

 だが、それでも咲子の前まで来ると、
「……行きましょうか」
とは言ってくれる。

 はい、と咲子はついて行き、美しい庭園をまったく会話のないまま歩くという地獄の時間を過ごした。

 こ、こんなので、私、この方とやっていけるのでしょうかね……?