約束の日、渚は夕方になっても待ち合わせ場所に姿を見せなかったのだ。

もしかして、何か急用ができたのかもしれない。

渚は生意気で気分屋だけど、約束をすっぽかしたりなんかしない。

きっと、言い訳をしに来るはず。


けれど、それから1週間、2週間と時間だけが過ぎていき、渚が私の前に姿を現すことはなかった。

その数ヶ月後。

近くのショッピングモールで偶然、友達と一緒にいる渚と出くわした。

ひと目見ただけで胸が張り裂けそうな気持ちになる。

言い訳があるならいくらでも聞く。

だから、お願いなにか言って……!

同じフロワ、重なる視線。

前から歩いて来た渚は何も発することなく真横を通り過ぎていった。


───ああ、それが答えなのね。

あの言葉は気まぐれで、あの約束は渚にとってどうでも良かったんだ。


その後、同じ高校に入学してきた渚と再会し、突然始まった同居。