桜が咲く頃、彼女は新しい制服を身に纏い、木漏れ日を行く。
「いち、にい、さーんっ」
家から一歩出たところからカウントアップが始まり、いつも同じ数字で足を止める。
「じゅーさんっ」
そして、俺の部屋を見上げてこう叫ぶ。
「岳ー、行ってくるねーっ!」
言い終わればキュッと口元を結んで、口角を上げて、そして名残惜しそうに、背中を向ける。
そんな彼女に、俺も真上の空からこう言うよ。
「すず、愛してるよ。俺はいつも、すずのすぐ側にいるからね」
十三歩よりも近い距離。俺等はずっとその距離に。
「いち、にい、さーんっ」
家から一歩出たところからカウントアップが始まり、いつも同じ数字で足を止める。
「じゅーさんっ」
そして、俺の部屋を見上げてこう叫ぶ。
「岳ー、行ってくるねーっ!」
言い終わればキュッと口元を結んで、口角を上げて、そして名残惜しそうに、背中を向ける。
そんな彼女に、俺も真上の空からこう言うよ。
「すず、愛してるよ。俺はいつも、すずのすぐ側にいるからね」
十三歩よりも近い距離。俺等はずっとその距離に。