両親の言葉はあまり頭の中に入ってこない。しばらくすると、結婚式に出席してくれるあたしの友達があたしの家の前に現れる。それから数分ほどして、花で豪華に飾られた高級車がいくつも道路に並び始めた。

「来た!」

高級車からムーチェンが降りてくる。すると、友達がムーチェンを取り囲んで行く手を塞いでいく。

「イーヌオのこと、本当に好きなの?愛してるの?」

「イーヌオのところには行かせないわ!」

友達が口々に言う中、ムーチェンは冷静にあたしの家の方を見ている。真剣な顔がとても凛々しくて、胸が高鳴っちゃうよ……。

「俺は、イーヌオのことを一生大切にする。自分の命よりも大切な存在で、誰よりも愛している!だから、ここを通してくれ!」

友達をかき分け、時にはお菓子などを渡して、ムーチェンは一歩また一歩と家に近付いてくる。そして、ドアノブに手が触れた。

「イーヌオ、迎えに来た!」

ムーチェンがそう言った刹那、玄関で待っていたあたしは抱き着いてしまった。嬉しくてたまらない……。

「ありがとう、ムーチェン」

抱き締め合うけど、キスはしない。だって結婚式でしないとダメだからね。