式が始まる時間になり、祭壇の前に私たちは並んで立つ。誓いのキスを済ませてバージンロードを二人で歩こうとした時、最前列に座っていた母が立ち上がった。

「アメリー、これをあなたに」

母の手にあったのは、イニシャルの入ったハンカチ。それは、代々我が家で受け継がれている特別なハンカチだ。

「ありがとう、お母さん」

そのハンカチを受け取り、モーリスを見上げる。彼はニコリと笑い、私の耳元で囁いた。

「女の子、僕たちの間に生まれてきたら嬉しいなぁ」

「ちょっと、気が早いわよ!」

恋人ではなく旦那様となったモーリスの腕に自身の手を回し、私たちは歩いていく。溢れる幸せに浮き足立ちそうになりながら……。