「すごく盛り上がっていますね」

「はい」

「こんなにもたくさんの人が集まってくれたなんて、恥ずかしくなってしまいますね」

「はい」

ランヴィールさんの言葉に、私は「はい」としか言えません。男性とこれまで全くと言っていいほど関わりがなく、何を話していいのかがわかりません。

「ソナムさん」

ランヴィールさんが懐からあるものを取り出します。それは、結婚をした証である銀の指輪でした。

「僕たちは、こんな出会い方ですからまだお互いのことを何もわかりません。だから、ゆっくり歩いて行きましょう。いつか、お互いのことを愛せるように……」

銀の指輪は、私の足の指にゆっくりと嵌められます。ニコリと笑った彼を見て、私の胸が小さく音を立ててしまいました……。