しゃべる人形

「にゃあ、にゃあ……」
背後から響くその鳴き声は、最初は獲物を探すような卑しい響きだった。けれど、僕たちの輪に加わり、あかりや遥、あんなが泣き崩れる姿を目の当たりにして、母親という名のその巨大な猫も、何かに突き動かされるように大泣きし始めた。
ちび猫のいくちびも、その大きな猫の泣き声に同調するように、悲しげに喉を震わせている。道路の上で、僕たちと猫たちが、ただ泣き声だけを響かせていた。
「もう……おばあちゃんは、戻ってこないんだ」
僕は涙を拭い、震える声でそう告げた。このままここで立ち尽くしていても何も始まらない。僕は覚悟を決めて、救急車を呼ぶための行動を起こした。
搬送の手続きを終え、僕らは救急車の中に乗り込んだ。狭い車内は、独特の消毒液の匂いと、僕らのすすり泣きで満たされている。おばあちゃんは一人暮らしで、頼れる家族もいなかった。けれど、ここには僕たちがいる。
「僕らが、最後まで面倒を見るよ」
誰が言ったでもなく、その言葉が僕らの共通の意志になった。
ストレッチャーの上で静かに眠るおばあちゃんの横で、大きな猫も、ちび猫のいくちびも、まるで家族のように寄り添っていた。救急車がサイレンを鳴らして街を駆け抜ける。行き先は病院。そこでおばあちゃんを送り届けたら、本当にこの別れが完結してしまう。
僕たちは、小さな命を抱きしめ合いながら、冷たい現実の中へと走り続けた。