しゃべる人形

「この後みんなどう?忙しい?もしあれだったら、みんなで集まって遊ぼうよ」
杏奈が明るい声で提案した。しかし、まさしは少し表情を曇らせて頭を振った。
「ああ、悪い。今日はちょっと都合が悪いんだ。……これから柔道に行く。親父をぶっ飛ばしてくるんだよ」
物騒な言葉に、まさおが呆れたように溜息をついて釘を刺す。
「おい、まさし。くれぐれも警察のお世話になるようなことはするなよ。また前みたいに面倒なことになったら、俺はもう知らんぞ」
「おお、大丈夫だよ」
まさしはひらひらと手を振り、ニカっと笑ってみせた。
「俺だって学習してるさ。次はもっとうまくやるから」
「じゃあ、まさし以外でどうする?」と杏奈がみんなを見渡すと、結局、いつもの公園に行こうという話にまとまった。佐倉雑高校のすぐ近くにある、僕たちだけの溜まり場。途中のコンビニでスナック菓子を買い込み、僕たちは夕暮れの公園へと向かった。
高校生が公園で駄菓子を食べて騒ぐなんて、世間から見れば少し子供じみた光景かもしれない。でも、この学校に集う僕たちにとっては、それが一番落ち着く時間だった。
滑り台の影やベンチに腰を下ろし、他愛のない話で笑い合う。夕陽が校舎の影を長く伸ばす中、スナック菓子の袋を開ける音と僕たちの笑い声が混ざり合う。この「独特な空気感」こそが、僕たちがこの場所で得た、何にも代えがたい日常だった。