理科の授業の終わり、片付けをしながらの雑談で、僕はふと思い出したことを口にした。
「おい、今フジテレビでやってる『サバカン 宇宙に行く』ってドラマ、知ってるか?」
「あ、知ってる!」
はるかがすぐに反応する。「あのドラマに出てる女の子たち、みんな私たちと同じくらいの年齢だよね」
「そうそう、あのドラマの子たち、俺好きなんだよ」
僕がそう言うと、雅男がニヤニヤしながら割って入った。
「おいおい秋夫、お前な。ここに可愛い彼女がいるのに、ドラマの女優まで好きになってんのかよ!」
その言葉に、あかりが「えっ、そうなの……? 私じゃないの?」と、少し不安そうに上目遣いで僕を見てきた。教室中が「秋夫、絶体絶命!」とばかりに盛り上がった。
そこに正志が「まあまあ、授業中だしその辺にしておけって」と苦笑いしながら仲裁に入ろうとしたその時、佐藤先生が冷ややかな声を響かせた。
「みんな、楽しいのはいいことだけど……ここは教室よ。その話をこれ以上続けるなら、進級できなくなるわよ」
佐藤先生はそう言って、僕たちを鋭い視線で射抜いた。
キリヤ先生のような温かさとは正反対の、針のように突き刺さる厳しさ。この学校の部長という立場上、彼女は厳格なルールを体現しなければならない。生徒たちからは怖がられ、疎まれ、いつしか孤立していく結末を、僕は知っている。
(本当は、この厳しさの裏にあるものを知っているけれど……)
僕は心の中で小さく溜息をついた。確かに今は少し棘が強すぎる。この先の彼女がどんな運命を辿るのかを思うと、軽々しくドラマの話で浮かれている自分が、少しだけ大人びた視線で見られているような、不思議な緊張感に包まれた。
「……すみません」
僕たちは肩をすくめ、物理の教科書をカバンに詰め込んだ。教室には、静寂とわずかな冷たさが残った。
「おい、今フジテレビでやってる『サバカン 宇宙に行く』ってドラマ、知ってるか?」
「あ、知ってる!」
はるかがすぐに反応する。「あのドラマに出てる女の子たち、みんな私たちと同じくらいの年齢だよね」
「そうそう、あのドラマの子たち、俺好きなんだよ」
僕がそう言うと、雅男がニヤニヤしながら割って入った。
「おいおい秋夫、お前な。ここに可愛い彼女がいるのに、ドラマの女優まで好きになってんのかよ!」
その言葉に、あかりが「えっ、そうなの……? 私じゃないの?」と、少し不安そうに上目遣いで僕を見てきた。教室中が「秋夫、絶体絶命!」とばかりに盛り上がった。
そこに正志が「まあまあ、授業中だしその辺にしておけって」と苦笑いしながら仲裁に入ろうとしたその時、佐藤先生が冷ややかな声を響かせた。
「みんな、楽しいのはいいことだけど……ここは教室よ。その話をこれ以上続けるなら、進級できなくなるわよ」
佐藤先生はそう言って、僕たちを鋭い視線で射抜いた。
キリヤ先生のような温かさとは正反対の、針のように突き刺さる厳しさ。この学校の部長という立場上、彼女は厳格なルールを体現しなければならない。生徒たちからは怖がられ、疎まれ、いつしか孤立していく結末を、僕は知っている。
(本当は、この厳しさの裏にあるものを知っているけれど……)
僕は心の中で小さく溜息をついた。確かに今は少し棘が強すぎる。この先の彼女がどんな運命を辿るのかを思うと、軽々しくドラマの話で浮かれている自分が、少しだけ大人びた視線で見られているような、不思議な緊張感に包まれた。
「……すみません」
僕たちは肩をすくめ、物理の教科書をカバンに詰め込んだ。教室には、静寂とわずかな冷たさが残った。

