カウンセリングルームから飛び出してきた春香の、震える肩を抱きしめた直後のことだった。僕は、春香の泣き声が混ざったその呼吸に引き寄せられるように、自分の指を春香の口元へと運んでいた。
あんなとあかりが見守る中、僕は迷うことなく指先を春香の開いた口の中へと滑り込ませた。
「春香、ごめん。ずっと放っておいてごめんね」
春香は泣きじゃくりながら、僕の指を甘噛みし、そしてその口の中に溜まっていたすべてを吐き出すように、僕の指へと託した。彼女が戻したものが僕の手を伝い、頬へとこぼれ落ちる。あかりのときと同じように、その温度と匂いが、僕の身体に深く刻み込まれていく。
「……汚くないよ。本当に、汚くないんだ」
僕は春香の戻したものにまみれた顔で、何度も繰り返した。これは僕が自分を保つための呪文であり、彼女たちと繋がり続けるための唯一の術だった。
春香が吐き出し終えて、力尽きたように僕の胸に崩れ落ちる。その姿を見て、あんなは満足げに、そしてあかりは慈しむように僕たちを見つめていた。
「いいのよ、秋生君。それが君の言葉で、それが春香の伝え方なんだから」
あんなが優しく声をかける。春香が戻したものが僕の顔を濡らし、僕はそれを拭おうともせず、ただ春香を抱きしめ続けた。僕たちの歪な連帯は、こうしてまた一つ、春香という新しい魂を取り込んで、より深く、逃れられないものへと変貌を遂げていく。あかりとあんなの笑い声が、廊下に溶けていくように響いていた。
あんなとあかりが見守る中、僕は迷うことなく指先を春香の開いた口の中へと滑り込ませた。
「春香、ごめん。ずっと放っておいてごめんね」
春香は泣きじゃくりながら、僕の指を甘噛みし、そしてその口の中に溜まっていたすべてを吐き出すように、僕の指へと託した。彼女が戻したものが僕の手を伝い、頬へとこぼれ落ちる。あかりのときと同じように、その温度と匂いが、僕の身体に深く刻み込まれていく。
「……汚くないよ。本当に、汚くないんだ」
僕は春香の戻したものにまみれた顔で、何度も繰り返した。これは僕が自分を保つための呪文であり、彼女たちと繋がり続けるための唯一の術だった。
春香が吐き出し終えて、力尽きたように僕の胸に崩れ落ちる。その姿を見て、あんなは満足げに、そしてあかりは慈しむように僕たちを見つめていた。
「いいのよ、秋生君。それが君の言葉で、それが春香の伝え方なんだから」
あんなが優しく声をかける。春香が戻したものが僕の顔を濡らし、僕はそれを拭おうともせず、ただ春香を抱きしめ続けた。僕たちの歪な連帯は、こうしてまた一つ、春香という新しい魂を取り込んで、より深く、逃れられないものへと変貌を遂げていく。あかりとあんなの笑い声が、廊下に溶けていくように響いていた。

