しゃべる人形

トイレの個室から漏れる、ニコルの荒い息遣い。その音を耳にした瞬間、僕の理性のタガが外れた。ナースステーションの特別室、あの静かな畳の部屋で、僕は戻ってきたニコルをそのまま床へと押し倒した。
あかりがすぐそばで見守っている。僕はその視線さえも愛おしく感じながら、ニコルの手を自分の股間に導いた。
「ニコルさん、ここがどうしてもおかしいんだ。お願いだから、触って、見てほしい」
僕の必死な訴えに、ニコルは困惑しつつも、抵抗することなくその指先を這わせる。そこへ、あかりが「なにしてるの?」と無邪気な声を上げながら身を乗り出し、反対側から僕をこそぐった。二人の女性の指が、僕の敏感な場所を同時に刺激する。
「ああ……ッ!」
我慢の限界など、最初から存在しなかった。僕はその場で全ての熱を放ち、ナースステーションの清潔な布団を白く汚してしまった。
「あ、またやっちゃった……。ここ、汚れちゃったね」
あかりは事もなげに笑いながら、ニコルに向かって言った。
「家でもいつもこうなんですよ。この人、あそこが痛いとか、おかしいとかって嘘ついて、私に診察させるのが癖なの。……ニコルさんも、つい乗せられちゃったんだね」
ニコルは大きな布を手に取り、汚れた布団を拭こうと慌てていたが、その表情は拒絶とは程遠い、どこか母性にも似た甘い諦めに満ちていた。僕はそのニコルを、あかりを、両方とも抱きしめたくてたまらなくなり、彼女たちの体温を必死に求めた。
「ごめん……ニコルさん、あかり……僕、もう自分じゃどうしようもないんだ」
言葉を紡ぐこともままならないまま、僕は彼女たちの温もりに埋もれるようにして、糸が切れた人形のようにそのまま意識を失った。
布団の上に残された混ざり合う痕跡と、看護師の制服の匂い。あかりの笑い声が遠くで聞こえ、僕の意識は深い闇の中へと沈んでいった。病院の日常の中で、僕たちのこの狂おしい時間は、誰にも止めることのできない加速を続けていた。