音楽の余韻が冷めやらぬまま、昼休みのチャイムが鳴った。給食の配膳が始まった直後、教室の入り口に上松先生が現れた。
「おい、お前ら! 今日のお前らの社会の授業、完全にすっぽかしてくれたな」
上松は呆れたように肩をすくめたが、その目は笑っていた。
「まあいい。じゃあ、この給食の時間を『社会の時間』に充てる。飯を食い終わったら、午後の授業はもう帰っていいぞ」
教室が歓声に包まれる中、僕たちは机を寄せ合って給食のパンと牛乳を広げた。教科書なんてここにはない。上松が切り出したのは、ニュースで流れていたアメリカとイランの対立の話だった。
「……戦争か。大変なことになってるよな。早くトランプさんがどうにかしてくれないと、世界がどうなっちゃうか」
僕が率直な不安を口にすると、正が即座に突っ込んできた。
「おい秋夫、お前今日頭悪すぎだろ。それしか言えねえのかよ?」
「なんだよ、実際そう思うだろ!」
正と正夫がその言葉に続いて、あーだこーだと言い争い始める。そんな騒がしい教室の中で、ハルカが牛乳を飲み干して言った。
「でもさ、世界中の国々が仲良くしてくれたら、それが一番だよね。戦争なんてなくなればいいのに」
ハルカのその単純で真っ直ぐな言葉に、教室が少しだけ静まった。上松は僕たちのやり取りを満足そうに聞きながら、最後の一言を添えた。
「そうだな。国と国が仲良くなって、無駄な争いがなくなる。結局、一番難しいのが一番シンプルなことなのかもしれねえな」
専門的な分析も、複雑な政治の話もここにはない。僕たちの社会の時間は、給食のパンを頬張りながら、ただ「仲良くしてほしいね」という子供のような願いを語り合って終わった。
結局、僕たちは午後の授業を免除され、開放感に満ちた空気の中で学校を後にすることになった。桜坂の坂道を下りながら、僕は今日起きたすべてのことを思い出していた。あかりへの想い、ハルカの優しさ、そしてこの、どうしようもなく不器用で、でも温かい僕たちの毎日。
今日という一日が終わろうとしている。桜の花びらが舞う坂道を、僕たちはそれぞれの明日へ向かって歩き出した。
「おい、お前ら! 今日のお前らの社会の授業、完全にすっぽかしてくれたな」
上松は呆れたように肩をすくめたが、その目は笑っていた。
「まあいい。じゃあ、この給食の時間を『社会の時間』に充てる。飯を食い終わったら、午後の授業はもう帰っていいぞ」
教室が歓声に包まれる中、僕たちは机を寄せ合って給食のパンと牛乳を広げた。教科書なんてここにはない。上松が切り出したのは、ニュースで流れていたアメリカとイランの対立の話だった。
「……戦争か。大変なことになってるよな。早くトランプさんがどうにかしてくれないと、世界がどうなっちゃうか」
僕が率直な不安を口にすると、正が即座に突っ込んできた。
「おい秋夫、お前今日頭悪すぎだろ。それしか言えねえのかよ?」
「なんだよ、実際そう思うだろ!」
正と正夫がその言葉に続いて、あーだこーだと言い争い始める。そんな騒がしい教室の中で、ハルカが牛乳を飲み干して言った。
「でもさ、世界中の国々が仲良くしてくれたら、それが一番だよね。戦争なんてなくなればいいのに」
ハルカのその単純で真っ直ぐな言葉に、教室が少しだけ静まった。上松は僕たちのやり取りを満足そうに聞きながら、最後の一言を添えた。
「そうだな。国と国が仲良くなって、無駄な争いがなくなる。結局、一番難しいのが一番シンプルなことなのかもしれねえな」
専門的な分析も、複雑な政治の話もここにはない。僕たちの社会の時間は、給食のパンを頬張りながら、ただ「仲良くしてほしいね」という子供のような願いを語り合って終わった。
結局、僕たちは午後の授業を免除され、開放感に満ちた空気の中で学校を後にすることになった。桜坂の坂道を下りながら、僕は今日起きたすべてのことを思い出していた。あかりへの想い、ハルカの優しさ、そしてこの、どうしようもなく不器用で、でも温かい僕たちの毎日。
今日という一日が終わろうとしている。桜の花びらが舞う坂道を、僕たちはそれぞれの明日へ向かって歩き出した。

