教室の空気は、僕が歌い出した瞬間に一変した。
「たとえこの家が壊れても、君と誓った愛は永遠。君と誓った愛は永遠であって、きっと僕らは幸せさ。ずっとね、ずっとね……」
震える声で、その歌詞を口ずさんだ。かつて聴いた、切なくも温かい「元気キッズ」の歌。僕の中にあった行き場のない感情が、そのメロディに乗せて溢れ出した。歌い終えると、教室のあちこちから、ぽろぽろと零れ落ちるような涙の音が聞こえてきた。
「……それ、『もう君が愛せない』の歌詞だよね」
誰かのそんな言葉が、悲しみをより一層深めた。夏江先生が、潤んだ瞳で僕を見つめ、静かに、そして少し皮肉めいた、けれど確かな愛情を込めて呟いた。
「よっぽどなのね。あなた、本当にあかりちゃんのことが好きなのね」
その言葉は、教室にいる全員の心を揺さぶった。皆が僕たちの純粋すぎるほどの想いに触れ、涙を拭っていた。だけど、僕の心は張り裂けそうだった。
この教室の中では、僕たちの想いは「愛」として共有されている。けれど、扉を一歩出れば、僕たちの叫びは「時代のゴミ」として処理される。「時代が変わったんだから、そんなことに執着するな」と、消しゴムで黒板を消すように、社会は僕たちの記憶を抹消しようとするのだ。
「……僕は、嫌だよ」
自分の声が、自分でも驚くほど震えた。
「こんな世界に卒業なんていらない。この場所から離れるのが怖いんだ。卒業して、外の世界に出て、僕たちが大切にしているこの想いまで『過去の遺物』として消し去られるのが、本当に嫌なんだよ!」
僕は机に突っ伏し、子供のように声を上げて泣き始めた。
教室の空気が、さらに濃密になった。遙かは僕の隣で、ただ黙って肩を抱いてくれた。あかりは、その小さな手を僕の背中に添え、ただ温かな体温を伝えてくれている。正夫も、誰か他のクラスメートも、誰も僕を「変な奴だ」なんて言わなかった。ただ、みんなが僕と同じように、この出口のない不安を共有し、僕の涙と一緒に静かに涙を流してくれていた。
この教室は、消しゴムで消されることのない、僕たちだけの聖域だ。
外の世界でどれだけ「不満ばかり言っている」と蔑まれてもいい。ここには、僕たちの心を通わせる歌があり、消したくないと願う「記憶」がある。
みんなのすすり泣く声が、音楽のように重なり合っていた。卒業という未来が近づく恐怖と、今この瞬間に僕たちを肯定してくれる仲間たちの温かさが、教室全体を優しく、けれど切なく包み込んでいた。
「たとえこの家が壊れても、君と誓った愛は永遠。君と誓った愛は永遠であって、きっと僕らは幸せさ。ずっとね、ずっとね……」
震える声で、その歌詞を口ずさんだ。かつて聴いた、切なくも温かい「元気キッズ」の歌。僕の中にあった行き場のない感情が、そのメロディに乗せて溢れ出した。歌い終えると、教室のあちこちから、ぽろぽろと零れ落ちるような涙の音が聞こえてきた。
「……それ、『もう君が愛せない』の歌詞だよね」
誰かのそんな言葉が、悲しみをより一層深めた。夏江先生が、潤んだ瞳で僕を見つめ、静かに、そして少し皮肉めいた、けれど確かな愛情を込めて呟いた。
「よっぽどなのね。あなた、本当にあかりちゃんのことが好きなのね」
その言葉は、教室にいる全員の心を揺さぶった。皆が僕たちの純粋すぎるほどの想いに触れ、涙を拭っていた。だけど、僕の心は張り裂けそうだった。
この教室の中では、僕たちの想いは「愛」として共有されている。けれど、扉を一歩出れば、僕たちの叫びは「時代のゴミ」として処理される。「時代が変わったんだから、そんなことに執着するな」と、消しゴムで黒板を消すように、社会は僕たちの記憶を抹消しようとするのだ。
「……僕は、嫌だよ」
自分の声が、自分でも驚くほど震えた。
「こんな世界に卒業なんていらない。この場所から離れるのが怖いんだ。卒業して、外の世界に出て、僕たちが大切にしているこの想いまで『過去の遺物』として消し去られるのが、本当に嫌なんだよ!」
僕は机に突っ伏し、子供のように声を上げて泣き始めた。
教室の空気が、さらに濃密になった。遙かは僕の隣で、ただ黙って肩を抱いてくれた。あかりは、その小さな手を僕の背中に添え、ただ温かな体温を伝えてくれている。正夫も、誰か他のクラスメートも、誰も僕を「変な奴だ」なんて言わなかった。ただ、みんなが僕と同じように、この出口のない不安を共有し、僕の涙と一緒に静かに涙を流してくれていた。
この教室は、消しゴムで消されることのない、僕たちだけの聖域だ。
外の世界でどれだけ「不満ばかり言っている」と蔑まれてもいい。ここには、僕たちの心を通わせる歌があり、消したくないと願う「記憶」がある。
みんなのすすり泣く声が、音楽のように重なり合っていた。卒業という未来が近づく恐怖と、今この瞬間に僕たちを肯定してくれる仲間たちの温かさが、教室全体を優しく、けれど切なく包み込んでいた。

