1時間目のチャイムが鳴り、音楽室の扉が開くと、清水先生が颯爽と入ってきた。長い髪を揺らし、凛とした佇まいで教壇に立つ彼女に、教室中の視線が釘付けになる。正夫も、そして俺も、密かに清水先生のその圧倒的な魅力に心奪われていた。男子生徒たちの間で「マドンナ」として名高いのも頷ける。
先生は軽く黒板にチョークを走らせると、柔らかな笑みを浮かべて言った。
「それじゃあ、今日は面白い提案を受けてるの。秋夫くんたちから、『Sign』をやりたいってね。教科書には載っていない曲だけれど、みんなの熱意に負けたわ。今日はこの曲を、みんなでやってみましょう」
その言葉に、はるかや正夫、そして他のクラスメイトたちからも歓声が上がった。俺は胸が高鳴るのを感じた。
準備は驚くほどスムーズだった。まるで何かに導かれるように、それぞれが楽器の前に位置につく。
清水先生が優雅にピアノの鍵盤に指を置くと、美しい旋律が音楽室を満たした。俺はキーボードの前に座り、昨夜の居酒屋での記憶を指先に込めた。ボーカルのマイクを握った正夫が深呼吸をし、ギターを手にしたもう一人の正は、弦を確かめるように静かに爪弾く。パーカッション担当のハルカとあかりは、タンバリンと太鼓の準備を整え、リズムを刻み始めた。
曲が始まると、音楽室の空気が一変した。
昨日、あの汚れた居酒屋で何度も歌い、反芻したあのメロディ。そのすべてが、ここでは完璧なアンサンブルとして響き渡っている。いきなりの通し演奏だったにもかかわらず、まるで何年も前から合わせているかのような一体感だった。
(……すごい。昨日、カラオケで練習したのが、これほどまでに効いてるなんて)
俺はキーボードを叩きながら、確信した。俺たちはただ歌いたかったんじゃない。あの夜の、あの狂おしいほどの「覚悟」を、この音の中に流し込みたかったんだ。
清水先生のピアノが主旋律を包み込み、正夫のまっすぐな歌声が教室中に響き渡る。ギターの音色がアクセントになり、ハルカとあかりのタンバリンの音が軽快に重なった。
俺たちは今、自分たちの手で物語を奏でている。昨日までの閉塞した日々が嘘のように、音楽室にはどこまでも透明で、熱い空気が満ちていた。
先生は軽く黒板にチョークを走らせると、柔らかな笑みを浮かべて言った。
「それじゃあ、今日は面白い提案を受けてるの。秋夫くんたちから、『Sign』をやりたいってね。教科書には載っていない曲だけれど、みんなの熱意に負けたわ。今日はこの曲を、みんなでやってみましょう」
その言葉に、はるかや正夫、そして他のクラスメイトたちからも歓声が上がった。俺は胸が高鳴るのを感じた。
準備は驚くほどスムーズだった。まるで何かに導かれるように、それぞれが楽器の前に位置につく。
清水先生が優雅にピアノの鍵盤に指を置くと、美しい旋律が音楽室を満たした。俺はキーボードの前に座り、昨夜の居酒屋での記憶を指先に込めた。ボーカルのマイクを握った正夫が深呼吸をし、ギターを手にしたもう一人の正は、弦を確かめるように静かに爪弾く。パーカッション担当のハルカとあかりは、タンバリンと太鼓の準備を整え、リズムを刻み始めた。
曲が始まると、音楽室の空気が一変した。
昨日、あの汚れた居酒屋で何度も歌い、反芻したあのメロディ。そのすべてが、ここでは完璧なアンサンブルとして響き渡っている。いきなりの通し演奏だったにもかかわらず、まるで何年も前から合わせているかのような一体感だった。
(……すごい。昨日、カラオケで練習したのが、これほどまでに効いてるなんて)
俺はキーボードを叩きながら、確信した。俺たちはただ歌いたかったんじゃない。あの夜の、あの狂おしいほどの「覚悟」を、この音の中に流し込みたかったんだ。
清水先生のピアノが主旋律を包み込み、正夫のまっすぐな歌声が教室中に響き渡る。ギターの音色がアクセントになり、ハルカとあかりのタンバリンの音が軽快に重なった。
俺たちは今、自分たちの手で物語を奏でている。昨日までの閉塞した日々が嘘のように、音楽室にはどこまでも透明で、熱い空気が満ちていた。

