「どうされたんですか?」
居酒屋の女の子が心配そうに駆け寄り、カウンター越しにそっとティッシュの束を差し出した。上松は鼻をすすり、真っ赤になった目でそれを受け取った。
「いや、なんでもないよ……本当に、なんでもないんだ」
口ではそう言いながらも、上松の目からは止めどなく涙がこぼれ落ちていた。それを見た正夫は、呆れたように肩をすくめて、その女の子に気安く話しかけた。
「悪いね、姉ちゃん。この先生、根っからの変態だからさ。惚れっぽくて情けなくて、どうしようもないんだよ」
正夫の無遠慮な言葉に、女の子は少し驚いた顔をしたが、すぐにふっと笑った。
「……あ、そうなんですね。なんとなく、そんな気がしてました」
彼女は上松を責めるでもなく、かといって過剰に干渉するでもなく、ただ静かに彼の隣に寄り添って、背中を優しくさすった。その光景を見ながら、俺は冷や汗を流していた。学校の教師が居酒屋で泣き崩れ、俺たち高校生と一緒に飲んでいる。もし誰かに見られたら、一巻の終わりだ。
俺は慌てて、周囲を気にしながらその女の子に頭を下げた。
「あの、本当にすみません。いろいろあって……僕ら、まだ高校生なんです。……お願いします、どうか学校には内緒にしておいてくれませんか?」
俺の必死の懇願に、女の子は困ったような、でもどこか優しい微笑みを浮かべて頷いてくれた。店内の喧騒の中で、俺たちは三人、秘密を共有する共犯者のようになっていた。
居酒屋の女の子が心配そうに駆け寄り、カウンター越しにそっとティッシュの束を差し出した。上松は鼻をすすり、真っ赤になった目でそれを受け取った。
「いや、なんでもないよ……本当に、なんでもないんだ」
口ではそう言いながらも、上松の目からは止めどなく涙がこぼれ落ちていた。それを見た正夫は、呆れたように肩をすくめて、その女の子に気安く話しかけた。
「悪いね、姉ちゃん。この先生、根っからの変態だからさ。惚れっぽくて情けなくて、どうしようもないんだよ」
正夫の無遠慮な言葉に、女の子は少し驚いた顔をしたが、すぐにふっと笑った。
「……あ、そうなんですね。なんとなく、そんな気がしてました」
彼女は上松を責めるでもなく、かといって過剰に干渉するでもなく、ただ静かに彼の隣に寄り添って、背中を優しくさすった。その光景を見ながら、俺は冷や汗を流していた。学校の教師が居酒屋で泣き崩れ、俺たち高校生と一緒に飲んでいる。もし誰かに見られたら、一巻の終わりだ。
俺は慌てて、周囲を気にしながらその女の子に頭を下げた。
「あの、本当にすみません。いろいろあって……僕ら、まだ高校生なんです。……お願いします、どうか学校には内緒にしておいてくれませんか?」
俺の必死の懇願に、女の子は困ったような、でもどこか優しい微笑みを浮かべて頷いてくれた。店内の喧騒の中で、俺たちは三人、秘密を共有する共犯者のようになっていた。

