「ちょっと待って、それはやめといた方がいい」
そう制止する僕の声は、あかりの興奮の前ではあまりにも無力だった。
あかりは、僕が机の引き出しに隠していた、あの剥き出しの言葉を綴った手紙を、まるで宝物でも見つけたかのように両手で抱きしめていた。その表情は、僕の予想を遥かに超えて無邪気で、そして眩しかった。
「ねえ、見て! これ、すごいよ」
あかりは弾んだ声でそう言うと、立ち上がって部屋のドアへと向かおうとする。その手には、僕が誰にも見せるつもりのなかった、あの泥臭くて、社会のルールを嘲笑うかのような手紙が握られている。
「あかり、本当にやめてくれ。あれは……二人だけの、その、もっと深いところで書いたものだから」
僕の必死の懇願も、彼女には届かない。あかりにとって、この手紙は「誰かに見せたい」と思うほど、誇らしい愛の証明だったのだ。彼女は振り返り、悪気のない満面の笑みで僕に言った。
「なんで? こんなに素敵なこと、はるかちゃんや、みんなにも知ってほしいもん。私たちがどんなふうに思ってるか、ちゃんと伝えたいの」
止めようとする僕の手を振り切り、あかりは廊下へと駆け出した。
やがて、はるかやあんなたちがたむろする場所で、あかりの甲高い声が響く。
「ねえ、聞いて! 私、すごいラブレターもらったの!」
その瞬間、部屋の空気が変わったのを背中で感じた。
僕の書いた、あの「剥き出しの言葉」が、彼女たちの手の中でどう変換されていくのか。僕の胸には、祝福への期待よりも先に、誰にも踏み込まれたくない領域を荒らされるような、ヒリヒリとした焦燥感が広がっていた。
そう制止する僕の声は、あかりの興奮の前ではあまりにも無力だった。
あかりは、僕が机の引き出しに隠していた、あの剥き出しの言葉を綴った手紙を、まるで宝物でも見つけたかのように両手で抱きしめていた。その表情は、僕の予想を遥かに超えて無邪気で、そして眩しかった。
「ねえ、見て! これ、すごいよ」
あかりは弾んだ声でそう言うと、立ち上がって部屋のドアへと向かおうとする。その手には、僕が誰にも見せるつもりのなかった、あの泥臭くて、社会のルールを嘲笑うかのような手紙が握られている。
「あかり、本当にやめてくれ。あれは……二人だけの、その、もっと深いところで書いたものだから」
僕の必死の懇願も、彼女には届かない。あかりにとって、この手紙は「誰かに見せたい」と思うほど、誇らしい愛の証明だったのだ。彼女は振り返り、悪気のない満面の笑みで僕に言った。
「なんで? こんなに素敵なこと、はるかちゃんや、みんなにも知ってほしいもん。私たちがどんなふうに思ってるか、ちゃんと伝えたいの」
止めようとする僕の手を振り切り、あかりは廊下へと駆け出した。
やがて、はるかやあんなたちがたむろする場所で、あかりの甲高い声が響く。
「ねえ、聞いて! 私、すごいラブレターもらったの!」
その瞬間、部屋の空気が変わったのを背中で感じた。
僕の書いた、あの「剥き出しの言葉」が、彼女たちの手の中でどう変換されていくのか。僕の胸には、祝福への期待よりも先に、誰にも踏み込まれたくない領域を荒らされるような、ヒリヒリとした焦燥感が広がっていた。

