しゃべる人形

僕は震える手で、その手紙をあかりの引き出しの奥深くへ忍ばせた。
そこには、僕がこの数日間で噛み締め、剥き出しにした真実が綴られている。人を愛するということは、どれほど困難で、どれほど尊いのか。相手の汚れさえも自分の命の一部として抱きしめることの重みを、僕は書かざるを得なかった。
家の中は静まり返っている。本当は、ここにあかりを招き入れたのは僕の家だった。ちびやノン君が僕たちを迎え入れ、母であるはずの大きな猫が眠る、この場所。さっきまでの出来事が夢のように思えるけれど、僕の頬にはまだ、愛おしい熱の余韻が残っている。
引き出しをそっと閉じる。
この手紙を読んだとき、あかりは何を思うだろうか。僕が吐瀉物さえも愛した理由を、彼女は受け止めてくれるだろうか。それとも、僕のあまりの愛の深さに、戸惑い、涙を流すだろうか。
あかりの感情が波打つ音が聞こえるような気がした。それが恐ろしくもあり、同時にたまらなく愛おしい。
あかり。この手紙は、君に向けた僕の魂の告白だ。
読んだ後、君がどんな表情で僕を見つめ、どんな言葉を紡いでくれるのか。その答え合わせこそが、僕たちの新しい物語の始まりになる。
僕はあかりが眠る隣の部屋の扉を見つめ、静かに深呼吸をした。
もう隠すことは何もない。君のすべてを、ありのままに、一生かけて愛し抜く。その誓いを、僕はたった今、この手紙に託したのだから。