100ページという物語の終着点に、僕があかりという存在に込めた「本当のラブレター」を刻み込む。それは、今の社会が忘れかけている、愛の剥き出しの形。
### 終章:剥き出しの証明
庭で布団を干す作業を終え、僕は手についた泥と、昨夜の汚れが混ざり合った指先を見つめた。おばあちゃんが去り、庭には本当の静寂が戻った。
今の世の中は、あまりにも潔癖すぎる。
コロナという分断を経験し、僕たちは他人の咳一つ、吐息一つを忌み嫌うようになった。「清潔であること」が愛の条件とされ、少しでも相手の汚い部分、弱さ、あるいは体調の悪さを見せれば、幻滅という名の拒絶が待っている。食事のマナー、給料、外見。そんな駆け引きの上に成り立つ「綺麗な恋愛」ばかりが持て囃されている。
でも、それは愛なのか?
僕はあかりが吐き出したそのものを、自分の顔に塗りたくった時の熱を思い出す。あんなにも汚くて、あんなにも生々しくて、そして何よりも愛おしかった。彼女が苦しみに顔を歪め、僕の前で自分をさらけ出したあの夜、僕は確かに確信したんだ。
人を愛するとは、相手の理想的な姿だけを愛することじゃない。
吐き、汚れ、あるいは誰にも見せられない惨めな姿を晒したとき、それでもなおそのすべてを「僕自身」として抱きしめることだ。
あかり。君が吐き出したものは、汚物なんかじゃない。僕に届いた、君という命の叫びだ。
もし君が病気になっても、僕がどんなに老いて動けなくなっても、僕たちは互いの汚れた部分を隠すことなく、ありのままの体温で寄り添っていけばいい。世間が僕たちを「異常だ」と笑うなら、それでいい。ルールや駆け引きで守られた薄っぺらな幸せなんて、僕はいらない。
正男が言ってくれたように、僕たちはこの歪な愛の形を通して、ようやく本当の意味で「人間」になれたんだ。おばあちゃんが僕を縛り付けていた執着も、あかりという光を汚すことさえ恐れないこの剥き出しの愛の前では、もう力を持たない。
僕はあかりの名前を呼ぶ。
窓の向こうには、これから続いていく僕たちの日常がある。そこにはきっと、楽しいことばかりじゃなく、汚れることも、傷つくことも、吐き出したい夜もたくさんあるだろう。
だけど、そのすべてを僕は待っている。
一生をかけて証明してみせるよ。君が誰よりも美しく、誰よりも愛おしいのは、君が完璧な存在だからじゃない。僕の目の前で、ありのままの君を見せてくれるからだ。
これが、あかり。君という光に向けて、僕が書き上げた、終わりのないラブレターの続きだ。
庭に吹く風が、僕の頬に残った昨夜の汚れを乾かしていく。僕はそれをあえて拭わずに、ただあかりの眠る部屋のドアを開けた。僕たちの、汚れてもなお美しい人生が、今ここから始まる。
### 終章:剥き出しの証明
庭で布団を干す作業を終え、僕は手についた泥と、昨夜の汚れが混ざり合った指先を見つめた。おばあちゃんが去り、庭には本当の静寂が戻った。
今の世の中は、あまりにも潔癖すぎる。
コロナという分断を経験し、僕たちは他人の咳一つ、吐息一つを忌み嫌うようになった。「清潔であること」が愛の条件とされ、少しでも相手の汚い部分、弱さ、あるいは体調の悪さを見せれば、幻滅という名の拒絶が待っている。食事のマナー、給料、外見。そんな駆け引きの上に成り立つ「綺麗な恋愛」ばかりが持て囃されている。
でも、それは愛なのか?
僕はあかりが吐き出したそのものを、自分の顔に塗りたくった時の熱を思い出す。あんなにも汚くて、あんなにも生々しくて、そして何よりも愛おしかった。彼女が苦しみに顔を歪め、僕の前で自分をさらけ出したあの夜、僕は確かに確信したんだ。
人を愛するとは、相手の理想的な姿だけを愛することじゃない。
吐き、汚れ、あるいは誰にも見せられない惨めな姿を晒したとき、それでもなおそのすべてを「僕自身」として抱きしめることだ。
あかり。君が吐き出したものは、汚物なんかじゃない。僕に届いた、君という命の叫びだ。
もし君が病気になっても、僕がどんなに老いて動けなくなっても、僕たちは互いの汚れた部分を隠すことなく、ありのままの体温で寄り添っていけばいい。世間が僕たちを「異常だ」と笑うなら、それでいい。ルールや駆け引きで守られた薄っぺらな幸せなんて、僕はいらない。
正男が言ってくれたように、僕たちはこの歪な愛の形を通して、ようやく本当の意味で「人間」になれたんだ。おばあちゃんが僕を縛り付けていた執着も、あかりという光を汚すことさえ恐れないこの剥き出しの愛の前では、もう力を持たない。
僕はあかりの名前を呼ぶ。
窓の向こうには、これから続いていく僕たちの日常がある。そこにはきっと、楽しいことばかりじゃなく、汚れることも、傷つくことも、吐き出したい夜もたくさんあるだろう。
だけど、そのすべてを僕は待っている。
一生をかけて証明してみせるよ。君が誰よりも美しく、誰よりも愛おしいのは、君が完璧な存在だからじゃない。僕の目の前で、ありのままの君を見せてくれるからだ。
これが、あかり。君という光に向けて、僕が書き上げた、終わりのないラブレターの続きだ。
庭に吹く風が、僕の頬に残った昨夜の汚れを乾かしていく。僕はそれをあえて拭わずに、ただあかりの眠る部屋のドアを開けた。僕たちの、汚れてもなお美しい人生が、今ここから始まる。

