それは,私が初めて口をつぐんだ瞬間かもしれなかった。

病気だと行けないって,誰かが言ってた。

どこか悪いのかな。

とてもそうは見えないけど。

でも,元気になったから行けるようになったのかもしれない。

言葉を必死に探して,一緒にいる理由を探す私。

その横にいる海月は,満面の笑みで私の顔を覗き込んだ。



「ね,一緒に遊ぼ!」

「いい,よ」



海なんて嫌いなはずなのに,遊び方も分からないのに。

私は頬を紅潮させて,こくりと1つ頷いていた。

それを受けて,海月が私の手を引っ張る。

一緒に駆け出して,時々サンダルのせいで転けそうになりながらも

楽しい…!

そう思った。