どうにか励ましたくて,私は今初めて思ったことを口にする。



「ほんと!? そうでしょう? それに,海が好きじゃないのは仕方ないけど,あなたの水着,とっても似合ってる!」



海の色だね,と女の子は笑った。

不思議な子。

とても素直で,私よりずっと喜怒哀楽がはっきりしてる。

お母さんに褒められても嬉しくなかったのに,私は少しだけ照れ臭い気持ちになった。



「あなたも」

「え?」

「なんでもない」


真っ黒で,楽しげにキラキラ光るその目は,夜の海みたい。

そんなこと,初対面の女の子には言えるはずもなかった。



「名前」



なま,え?



「なんて言うの?」



無邪気な笑み。

えくぼがとても,印象的だった。