「うん。またね」

「またね」



こんなところ,誰かに見られたら通報されちゃう。

海月も……今は人間だけど。

私たちは,また約束を交わした。

小指を絡めて,離して,あとはもう無言。

それ以上は,必要ない。

海月が海に返っていく様子を,じっと眺める。

頭が消える寸前。

海月が



「次はきっと,家族で逢いに行くから」



と言った。

うん。待ってる。

いつまでだって,ずっと。

待ってるからね。

私が握るポケットの中には,シーグラス。

ーあの日の思い出は,ポケットの中に。