ポケットの中のおもいで

ーザブッ



うそ……

期待していたとはいえ,こんなに早く来てくれるなんて,思ってなかった。



「私のこと,覚えてる?」

「あたり,まえでしょ? いつも,来てくれてたくせに」



お互いに,泣き笑い。



「その制服,可愛い」

「そっちこそ」



海月,前よりずっと美人。

学校,通えたんだね。



「その制服,知ってるよ」

「でも,来ちゃダメだよ?」

「うん」



そんな気は,してた。



「友達も…出来たよ」



海月が言う。



「でも,ずっと,薫が1番だった」

「私もだよ」

「ふふっ知ってる」



知ってる,なんて,なんだかおかしい。

でも仕方ない。ずっと逢いたくてこんなところまで来てたんだから。