××××年 ×月×日 春風 薫 小学2年生 夏
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炎天下の中に,1人。

遠くには私を見ていると約束した,いとこのお母さんがかき氷を頬張りながら私を見ている。

沢山のいとこも,お母さん達も,みんな海の中。

私はすることもなく,拾った貝殻で砂をつついた。

つまらない…

いくら私が辟易していようと,まだ来たばかり。

このままずっと,夕方まで過ごさなくてはいけない。

唯一の救いは,黄色のサンダルが可愛いことだった。

だけど水着はいやだ。

…早く帰りたいな。

ぼーっと,どうしよもなく空を眺めた。



「ねぇ,海がきらいなの?」



私から太陽を遮った女の子。

そのパワフルな声の女の子は,けれど太陽よりも眩しい笑顔で私に話しかけた。