口が「危ない!」と動く。

聞こえないけど,多分とても声を張って。

危ない? と顔をあげると,私の周りには誰もいなかった。

さっきまであんなにいたのに……

皆,私よりずっと浜辺に近いところにいた。

急いで手足を動かしてみても,押し返されるばかり。

それよりも。

たった今気がついた恐ろしいこと。

海月が危ないといった,大きな,波。

抗えない。あんなの,当たったら溺れちゃう。

私は顔を真っ青にした。

海月の方を見ると,海月は決意に満ちた表情で,私のところへ走ってきている所だった。

海月が右手を水平にかざす。



「とまって!!!!!」