ポケットの中のおもいで

人見知りの私が友達を作って帰ってくるなんて,思ってもいなかったようだ。

それも,海嫌いの私が遊びたいと浮き輪をとりにきた。



「仕方ないわね……その子に免じて許してあげる。でもね,もう遠くまで行っちゃダメよ? 近くにいて,その子も呼んできなさい」



私は生返事で浮き輪を受けとると,また来た道を全力で走った。

私は海月を連れに行くために,『遠くまで』走る。

べ,としたを出して,「ごめんね,お母さん」と私は心のなかで謝った。

早く,いかなきゃ。

どれくらいの距離を走ったのか覚えていない私は,すぐに海月を見つける事が出来ない。

自分より大きい人で溢れ返っているし,しょっちゅうぶつかってもしてしまう。