ポケットの中のおもいで

「いた! おかぁさん!」



見つけた背中に声をかけると,お母さんは勢いよく私を振り返った。



「薫!」



よくみたら,皆そこにいた。

もう帰るとかだったらどうしよう。

まだ遊びたいし,海月にも待っててって言ってきたのに…



「どこまで行ってたの! 皆心配して探してたのよ!?」

「ご,ごめんなさい」



確かに,遠くには行っちゃダメって,言われてたんだった。

私は肩をすくめてお母さんに謝る。

でも,そうしている時間も惜しい。



「女の子と遊んでたの。ごめんなさい,行ってきてもいい? 浮き輪が欲しいの」

「お,女の子?」



お母さんは失礼にも目を点にする。